未経験者に送るコミケ出展記録(制作、印刷、製本、準備、当日の流れ、費用etc)

昨年末、コミックマーケットコミケ)というイベントに恐れ多くも人生で初めて描いた漫画を出しましたが、同時にコミケも初出展でした。せっかくなのでここに色々な記録をまとめたいと思います。最後に費用などもまとめているので参考にしてください。

※ブースにかかる費用や発行部数は「どれだけ儲けたのか」の尺度になってしまうので他のブースでは開設者が公開していないかぎり、聞くのはやめにしてください。

※またルールなどは変わる可能性があるのでここの情報を過信せず、ちゃんと公式の物も調べて備えてください。

動機

ブース参加はC89で初ですが、コミケには3年位前からコスプレイヤーとして参加していました。やるのは大体マインクラフト+なにか新しいネタで多くの人に写真を撮られたり、いろんなまとめサイトに取り上げてもらったりして個人的には満足しておりました。



しかし数回参加するうちに少しマンネリしてしまっていたので、2015年夏からブース参加に応募するようになりました(夏は落選)。

なお描いたことがない漫画を出展作として選んだ理由ですがこれは単に「一度は漫画を描いてみたい」と思ったからです。

ブース参加に応募

ブースは希望すればだれでもなれるわけではなく、抽選に当たる必要があります。そこに申し込むには「参加申込書セット」を購入する必要があります。これはWeb、コミケ会場、あるいは全国の提携店で購入することが出来ます。

当選すると割り当てられたブース番号や一般開場前に入れるサークルチケット、サークル参加証が届きます。

制作環境(漫画)

ブース参加を決定する前から一応イラストなんかを半年ほど前から描いておりました。なので下記のように絵を描くツールはそろっておりました。


これは私が2か月ぐらいかけてのんびり描いたSHIROBAKOのイラストでトレースではありますが、個人的に昨年描いた絵の中で一番うまく描けたと思っています。

・PC(デスクトップ 2011年製)
 CPU:Intel Core i5
 RAM:4GB
 OS:Windows10
Photoshop
タブレット(Wacom MTE450)
・モニター2枚

製作





今回制作する本は艦これとペルソナの漫画です。ページ数は15で1ページはA5サイズになります。

描き方に関してはほとんどわからなかったので、荒木飛呂彦先生の本や3人の漫画を描いている先生にご協力いただいて漫画の描き方を調べました。

1月末にWebで公開するのは事前に告知していたので、コミケでは最低限の塗りだけ行いコミケ1日目(出展日前日)の18時に制作を切り上げました。

印刷

大手など部数が多いところは印刷会社にデータを入稿して製本してもらうのですが、自分の場合は20部と少なかった(のと原稿が終わらなかった)のでコピー本という自分で印刷して製本するやり方をとりました。部数ですが売りたい部数+挨拶などで配る部数+見本誌として提出する1冊+自分用の部数だけあればいいでしょう。

印刷は表紙、ページともにキンコーズで行いました。よくみる同人誌の表紙はカラー印刷の他に薄い樹脂皮膜を付けるPP加工というのをやっているのですが、自分は間違えてランチョンマットなどに用いられるラミネート加工をやってしましました。

表紙に加え、ページの方もそうなのですが、製本時にそのページが紙のどの面 に来るかちゃんと見極めてデータを作らないと間違えてしまいます。



ともあれ、自分の近くの店では24時間営業しているキンコーズには大変お世話になりました。

製本

製本ではたまたまコスプレで買っていたライオンボードとビニールテープが大活躍しました。ライオンボードの上に本を開いて乗せ、ホチキスで閉じると針が下に飛び出なくなるので、あとはライオンボードから抜いて針を曲げれば製本が出来ます。



最後にビニールテープを針の上から貼れば安全対策もばっちりです。自分は裏表紙の半分が黒かったので黒いビニールテープを使いました。
(※ちなみにこの表紙、印刷が左右逆で間違えております)

ブースの準備

ブースには基本的にはサークルチケットと作った本、あと筆記用具さえあれば大丈夫ですが、その他防寒具、座布団、食糧、名刺、テーブルクロス、見本誌立て、ポスターがあるとよいです。私はポスターの代わりにコスプレでも使っていた手持ちタイプのホワイトボードを持っていきました。

当日の動き

当日は会場に規定時間までにサークルチケットで入り、スタッフに参加証と見本誌を1冊提出すれば開場30分前までは自由に行動できます。上の制作動画でご協力いただいた先生2人が参加されていたので挨拶にと思っていましたが、うち1つは壁サークルで忙しそうだったのでツイッターで来たことだけ伝えて後で挨拶させていただきました。

費用

まず20部の本を作る(表紙カラー、ページ両面印刷)のに印刷代が1万円程度、あとコミケに応募するために買った申請書が1500円、参加費が8000円かかります。そのほかブースの準備や挨拶のための贈呈品などを考えると大体全体で2.5~3万かかりました。勿論赤字ですw

感想が欲しいなら

せっかく漫画を描いたなら読んだ人の感想が欲しいと思われるでしょう。参加者の中には買ったすべての本の感想をTwitterなどで書いてくれる人がいますが、だからと言って知り合いでもないのに、こちらSNSで感想を要求するのはちょっと気が引けるかもしれません。そこでここでは感想を貰いやすくする方法をいくつか書きます。

まずは本の最後に「感想お待ちしています」と書いてメールアドレスやSNSのIDを書いておく方法。ネットではWeb拍手を利用する人もいるようです(参照)。私がやったのは買ってくれた方にあとでイラストを描いて渡すというもの。私の場合は本を描くことも含めて絵の修行のためにやっていたので全員からお題をもらって別々のイラストを描きますが、同じイラストにサインとSNSのIDを書いてあげて渡すとかでもいいと思います。とにかくそうやってコミケ後に接点をつくってその際に「買ってくれたお礼と感想をさりげなく要求すれば貰える確率は上がると思います。

最後に(得られるもの)

こんな感じで多くのお金と時間をかけてコミケにブースを出してきました。勿論赤字です。出る事で箔がついたり宣伝になる、という事も無いのでネットで漫画や小説、ブログが発展している今なら作品を公開する場合はそちらでやった方が確実にいいでしょう。

今回私が出たのは単に参加権を得てtwitterの名前にブース番号つけたり、貴サークルは~に配置されましたというツイートしたり、ブース机の反対側からはどんな風景が見れるのかというのを体験したかったのと、描くのが大変だという漫画を(締め切り付きで)描く体験がしたかったからです。






申し込んだときの高揚感、漫画を描き始めた時の道の見えない感じ、当選した時の喜びと締め切りが発生したことへの重圧、前日まで必死に作品のクオリティを少しでも上げようともがき、それでもこんなの知り合い以外に売れるわけないと思いつつ、ブースを設置した緊張感。そして売れたり、スケブを頼まれたときの満足感。それらは今まで生きてきて味わったことのない充実した年末を自分に提供してくれました。

この記事が今後コミケに同じように出たいと思っている方の助けになれば幸いです。
また実際に頒布した本も下記で公開しているので、ぜひ読んでいただけるとありがたいです。
もしよかったらこう描いた方がいいというツッコミや感想もヨロシク!

この記事を書いた人

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