南極はここにもあったんだ 舞台「宇宙よりも遠い場所」感想

土曜日に舞台「宇宙よりも遠い場所」を見てきました!色々語りたいのでここにまとめます

※舞台とアニメのネタバレを含みます。

忙しい人向けのまとめ

・なかなか良かった

・背景に映像が欲しかった

・アニメと演出を比較して楽しめる

・円盤とサントラはよ

 

パンフレット

キャラ達が現実に。驚きの再限度

 まず驚いたのがキャラクターの再限度。堀内さん(キマリ)、石井さん(報瀬)、岸さん(日向)、北澤さん(結月)がそれぞれキャラクターが画面から出てきたような再現度なのに加えて声も近いという(身長をキャラと揃えたらしいですね)。他のキャラクターも田口さん(+保奈美さん)はマジでめぐっちゃんだし、緒月さんは本当に結月ママだし、桑原さんは本当に吟さんだった。清司さん(りん、夢さん)も石丸さん(かなえさん)も安藤さん(貴子)も、キャラをちょっとアニメから変えて来た向井船長役の中村さんもキャラも実際にいたらこんな感じなんだろうなあと容易に想像がつきました。

 恥ずかしながら田口さんと清司さんが2役やってるなんて気づかない程それぞれの役に合ってました。

 そして何より2時間しかないのに13話全部を演じきった事。脚本も時系列をさしかえたりしてあの「よりもい」の雰囲気を見事にとらえていたのが驚きでした。

 

 時間の無い中、調整されたアニメにもなかったセリフも「ああ、これは言ってそうだなあ」と思わせるものがあって良かったですね。特に6話で日向がパスポートを失くして「報瀬はずっと行きたかったんだろ?」的なことを報瀬に言うシーン、アニメにも似たセリフはあるのですが、ニュアンスがちょっと違っていてアニメは「報瀬はさ、誰よりも南極行きたいって思ってるんだろ?」という所でした。

 これは報瀬が気を使ってるのが過去の出来事もあって日向がそれを受け入れられないというシーンなのですが、岸みゆさんの日向はより快活なイメージで、先のセリフにも報瀬に精神的にもたれかかる(ほんの少し責める)ように聞こえて、それに対して石井さんの報瀬が少し怒るという掛け合いがあり、シーン自体は短くなっているのに2人の関係性が上手くあらわれていました

 

アニメと舞台、その違いを楽しむ

 多くの方が楽しんで実写版の声もあがる宇宙よりも遠い場所ですが、自分が納得できないのは別に現実の演者さん達やスタッフを信じていないからではなく、この作品が極めて特殊な映像で魅せるアニメだからです。

 

 映像のパワーを最大限にしつつ、セリフは極めて短く効果的に組まれていて、それが独特の雰囲気を生み出しているので、それを実写でやるのは極めて難しいと思っていました。

 

 しかし前述したように舞台では作品の雰囲気が良く伝わってきました。現在と過去のシーンを交差するように組むことで、強烈な実在感の中にどこか幻を見ているかのようなふわっとした心地よさがありました。

 

 ただ、強いて言うなら背景に画像を映せるスクリーンがあった方が良かったのではないかなと感じました。おそらく予算の問題と挑戦としてあえて背景を使わないという構成になっていたのですが、その為に場面を説明するセリフというのがところどころ入っていました。

 

 

 記憶が正しければ舞台はこんな感じでM字型のセットがくまれていて、中央に最初と最後に「宇宙よりも遠い場所」のロゴを表示する円があったのですが、ここに画像や映像、たとえばケーキやたまっていくメールが写せたら場面説明セリフを減らせるので、もっと良かったんじゃないかと。まあなくても十分良かったですけどね。3日で終わるのは勿体ないので、よかったら来年とかに映像付きでやってくれないかなあ・・。

 

 また舞台ならではの演出にも驚かされました。ライトがこっちを照らして眩しくなっている間に舞台上に人物が現れたり、13話の最後の「知ってる」のシーンは舞台ならではの良さがあり非常に良かったです。

 

 とにかく構成もセリフも美術もまさしく「よりもい」という舞台だったので舞台とアニメの演出の違いを見る事でそれぞれの良さが分かる良いコンテンツでした(あとキャラクターの微妙な性格の違いとか)。円盤とサントラ、是非出してください!

南極はここにもあったんだ

 アニメ放送時から多くの人に勇気を与えて来た宇宙よりも遠い場所ですが、最後にキャスト・スタッフの方達のコメントも良かった事を紹介したいです。脚本・演出の土田さん、鈴木さんのコメントも非常に良かったんですが、売り物のパンフレットの中に書いてあるため、ここは清司さん(りん、夢さん)のツイートを紹介します。

 

 

 「仲間だけで乗り越えていくこの空間が好き」は勿論13話からの引用ですが、本当に宣伝などからスタッフ・キャスト間の空気の良さは常に感じていました。また素人の私が感じるぐらいなのでやはりアニメを舞台化するというのは凄い挑戦だったと思います。「宇宙よりも遠い場所」は南極の事なのですが、この作品内では同時に無数にある「乗り越えるべき目標」の事でもあると思っています。

 スタッフ・キャストの皆さんが南極を超える姿を見て私も再び頑張れそうな気がしてきました。

 

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